野鳥には変わった習性の有る鳥がいます。 托卵(たくらん)って聞いたことありますか?? 昔カッコウの話を何かの授業で習ったような習ってないようなっていう程度のうろ覚えの記憶が私にはありますが。。。
托卵とは
托卵とは、その字の通り、卵を托すということです。 要は誰かに預けるんですね。 厄介なのは、「お願いね。」「わかったよ。」という、預ける側と、預かる側の了解がないということ。
知らない間に、別の鳥の巣に卵を産んじゃうんですよね。
で、卵を置かれた側の鳥が、知らず知らずの間に別の種の子を育てるという。
ちょっとエグイ感じの習性です。
極稀に人間でもこういうことを企むのがいるみたいです。托卵と検索すると上から二番目は人間の話でした。
うーん、えげつない。脱線しましたが、それとは別のお話です。
托卵する鳥
世界中に約80種が托卵習性を持っているそうです。 そのうち日本で見られるのは
カッコウの仲間カッコウ科の鳥です。 日本で見られるカッコウ科の鳥は、カッコウ・ツツドリ・ホトトギス・ジュウイチの四種類です。トケン類と呼ばれることも有りますが、これはホトトギスを漢字で書く【杜鵑】と書く事が有り、ここからホトトギスの仲間でトケン類という呼び方になったとされます。
関連:托卵する鳥カッコウについてはこちらの記事で☆
托卵される鳥
それぞれの種によって托卵する相手が有る程度決まっているようです。 卵が似ているとか、棲んでいる環境が似ているとかいろいろ理由はあるのでしょう。
カッコウ
モズ・ウグイス・ホオジロ・オナガ・オオヨシキリ等 今まで30種近くの相手に托卵した記録があるそうです。
関連:托卵される鳥達はこちら☆
ツツドリ
センダイムシクイ・メボソムシクイへの托卵事例が多いそうです。

ホトトギス
ウグイスに托卵することが多いようです。ミソサザイに托卵した例もあるそうです。
ジュウイチ
オオルリ・コルリ・ルリビタキへの托卵が多いようです。
このツツドリ・ジュウイチは聞き慣れない名前かも知れません。 ツツドリは渡りの時期に平野部の公園にも立ち寄る事が有るようです。 特にジュウイチは平野部で見かけたという話もあまり聞かないので、相当レアな鳥だと思います。 鳴き声だけは聞いた事が有るのですが。ちなみに聞いたのは尾瀬です。
関連:尾瀬の散策にはこちらの記事がおすすめです☆
バレないのか??
一度巣の中に卵を産み付けられると、巣に卵が有るという事実から抱卵してしまいます。
卵がかえって雛になり、餌を欲しがる声を聴くと、餌を与えてしまいます。 これが本能による行動です。 もうどうやっても似ても似つかない、親よりはるかに大きい雛であってもです。 日本最小クラスのミソサザイが、鳩くらいあるホトトギスに餌を与えて育てるといった事例もあるくらいですから、本能というか自然・野生というのは到底、人の考えるところの及ばない事象があるものですね。
進化!!
先ほど、本能が、という話をしましたが、どうも托卵される側も防御する能力?遺伝子?本能?が目覚めてきているようです。 ヨシキリの仲間はカッコウが近づくと、托卵されないように、警報を鳴らし注意喚起をするネットワークを形成するそうです。 セキレイの仲間やモズ・オオヨシキリには、托卵された卵を見破って捨ててしまうものまでいるようです。 特にオナガはここ何十年か前に初めて格好と生息域が重なり始めて、托卵され始めたそうですが、最初はやられっ放しだったものが、今やカッコウの姿を見ると攻撃するようになり、また卵も見分けられる能力を持ち始めたそうです。カッコウも負けずと卵をより似せようと変化しているようですが。 学習するところと、本能的にあいつはヤバいという遺伝子が組み込まれ始めたのか、非常に鬼気迫る攻防が繰り広げられています。

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この野鳥たちの攻防を見逃さないために!!
探鳥のヒントに
さて、この托卵という習性と、托卵相手を知っておけば、野鳥観察をするときに少し役に立ちます。 カッコウがいれば、もちろん托卵相手となるモズやウグイス類がいるわけですし、ツツドリの声が聞こえれば、ムシクイ類も同じ生息域にいるはずです。 その逆も言えるわけで、居そうな鳥の推測に使えるというわけですね。
また、他の3種に比べてジュウイチという鳥は非常に珍しいとされているのですが、托卵相手を見ると納得ですよね。 オオルリ・コルリ・ルリビタキですよ、ワザと青い鳥選んでるだろうって感じですよね。 托卵相手も珍しいので、托卵する側も珍しいわけです。 ジュウイチがいる森は、幸せの青い鳥であふれているのでしょう。
会ってみたい!!!
と私の心の声が漏れてしまいましたが、皆さんもぜひこの自然界の遺伝子レベルの攻防を知って、ぜひ観察に役立てて下さい☆