野鳥豆知識 森林の種類

日本の陸地の70%は森林だと言われています。
一言で森林といっても、様々な種類の森林が有り、それぞれ独自の個性豊かな生態系を持っています。
ですので、構成する木々も違えば見られる生物も変わってきます。
今回はバードウオッチングとは切っては切れない森林についてまとめてみました☆

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成り立ち別

原生林(天然林)

有る程度昔から伐採や災害などによって森林破壊されていなく、人の手が加わっていない森林の事を天然林と呼び、これ以上発達しないところまで発達しきったものが原生林と呼ばれます。
また、一度も人の手が入っていないものを原始林と呼びます。
日本では、屋久島(世界自然遺産)・白神山地(世界自然遺産)・知床(世界自然遺産)・奈良春日山(世界文化遺産)等数々の原生林が残っており、その希少性・価値は、非常に高く、世界遺産や天然記念物などの指定を受け保護されているものも多くあります。
野鳥だけでなく野生生物の宝庫でもあり、多くの生物が棲む貴重な生態系が保たれています。

天然生林

天然林が伐採されたり、台風などの災害で被害を受けた後、残った木々や、種子から植物が生長し森林の発達段階に戻ったものをいいます。
また、自然の力で育つ天然の林でも、人によって、うまく育つようにサポートされたものも天然生林と呼びます。

人工林

人工林

苗木の植栽・播種(種まき)・差し木等、木々の生殖段階から人の手が入った森林の事です。
主に木材を得るために人工的に植えられたもの(林業)が多く、杉・檜などの針葉樹が植えられていることが多いです。
日本の森林の約40%が人工林と言われています。
木材用の人工林には、まず基本的に入れないのと、探索路もなく野鳥観察には向きません。

保安林(防風林・防潮林・砂防林)

人工的に作られた森林の一種で、主に海岸沿いに植えられた松林が多く、海からの風・高潮・砂などを防ぐ目的で植えられています。
市街地や田畑を守る目的で作られるため、周囲に森林がない所へ作られることが多く、貴重な住処として多くの野鳥が棲み、時には迷鳥が迷い込んでいることも有ります。

海沿いの保安林

 

 

 

 

 

 

関連:日本一有名な保安林はこちら☆

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雑木林

人工的に作られた森林の一種で、木材用の人工林が杉・檜などの針葉樹なのに対して、雑木林は、クヌギ・コナラといった広葉樹を植えて作られた森林です。かつてはクヌギ・コナラなどは薪などの燃料として使用されていました。その名残の雑木林が各地に残っています。
多くの野鳥・その他生物の宝庫であり、カブトムシ・クワガタムシなどの人気の昆虫も多く生息しています。

関連:身近な雑木林のある公園

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持ち主別

国有林

国(林野庁)が管理する森林で、日本の森林の約3割を占めています。
多くは急峻な山岳地帯や、水源地のあって、安定した水の供給や、土砂災害の防止、温暖化対策などに重要な役割を担っています。
一部のエリアはレクリエーションの森として広く開放され自然と触れ合える貴重な場所となっていますが、それ以外の場所は一般の人は許可なく立ち入ることはできません。
立ち入ることが出来ないからこそ、そこには貴重な生態系が保たれているのでしょう。

公有林

地方自治体が所有している森林で、日本の森林の約1割を占めています。
持ち主が分からなくなったり、個人では手入れが出来なくて荒廃した森林を地方自治体が買い取ったり支援をすることで、防災・景観上良くしようという動きが有ります。

私有林

企業や個人が所有する森林で、日本の森林の約6割を占めています。
多くは住宅メーカーなどが自社製品の素材(木材)を育てるために持っている森林ですが、
ここ最近の環境保護・生物多様性等の観点から、多くの一般企業も社有林を持ち、また解放したり、イベントを開催するなどの活動が活発になってきています。

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構成樹木別

 

 

照葉樹林

主に温帯に成立する森林形態で、常緑広葉樹で構成されます。
冬の間も葉を落とさない木々で、太陽の光が当たると少し光が照りかえるような光沢のある厚めの葉を持つのが特徴です。
照り返す葉を持つ木から照葉樹という呼び名が付いています。
日本では、主にかつての関東平野が照葉樹林に覆われていたと考えられていますが、現在純粋な照葉樹林はほとんど残っていません。

余談ですが、この深い緑色を再現した、照葉樹林という名のカクテルが有ります。
グリーンティー・リキュールをベースにウーロン茶で割っただけのシンプルなものなのですが、ちょっと気になりますよね☆

 

落葉広葉樹林(夏緑広葉樹林)

秋頃にすべての葉を落とし休眠状態になる木々で構成された森林です。
日本においては照葉樹林よりも寒い地域・標高の高い位置にあります。
標高1000m~1500mくらいの低山帯までが分布で、亜高山性針葉樹林帯と接触します。
春の芽吹き、新緑、秋の紅葉など一番四季を感じる事の出来る森林です。
また、照葉樹林の多くは、伐採等の影響を受け、広葉樹と混合した森林となっていることがほとんどです。

針葉樹林

日本で自然の形で針葉樹林を形成するのは、標高の高い亜高山帯針葉樹林で、亜高山から高山帯に存在しています。
亜高山帯は本州中部では約1500mから上のかなり標高の高いエリアになります。
それより標高の低いエリアで、針葉樹だけが規則正しく生えている森は人工林で木材を得るために植えられたものです。
現在は、木材の値段が下がり、採算が取れなくなった人工林がろくに整備もされずに放置されている状況が多く問題となっています。
亜高山帯針葉樹林を好んで棲む鳥も多く、観察できる場所も限られているため、貴重な探鳥地が多いです☆

苔生す針葉樹林

 

 

 

 

 

 

関連:広葉樹・針葉樹の混ざった森林

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竹林

その名の通り竹で構成された林です。
竹は根を横へ広く伸ばすため、他の植物が食性する場がなくなってしまうので、竹のみで構成される場合がほとんどです。
また地盤を強くするためや、景観をよくするために植林された場所も多くあります。

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場所別

湖畔林

その名の通り湖の畔に存在する森林。
サギやウ等のコロニーが形成されることも有り、野鳥にとっては非常に良い環境だと思われます。

美しい湖畔林

 

 

 

 

 

 

河畔林

河川の周辺に繁茂する森林、河川敷や中洲などに生えており、主に野鳥や水鳥などの住処となります。
また、その水鳥や小鳥を狙った猛禽類が棲みついたりと生態系には重要な森林ですが、
増水した際に水の流れの邪魔になるなど、防災面との兼ね合いが難しい所です。

渓畔林

河畔林と同じく水の流れに沿って繁茂する森林ですが、河畔林よりもっと細い流れ、渓流沿いのものを渓畔林と呼び区別しています。
こちらも非常に重要な森林で、渓流沿いを好む野鳥たちの貴重な住処になります。
オオルリ・コマドリ・コルリなどのアイドル鳥の多くが渓畔林を好む傾向にあります

野鳥の宝庫・渓畔林

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄道林

鉄道を強風・砂嵐・雪などから守るために線路沿いに整備された人工林の事を指します。

拠水林

湿原・草原などの栄養の少ない土壌の土地を流れる川沿いにだけ繁茂する林の事です。
周囲の山などから流れる川が運んだ栄養分の多い土砂が川沿いに堆積することによって、その場所にだけ高木が植生できます。
尾瀬ヶ原の拠水林が分かりやすく、有名です。
一面の湿原の中にあって、野鳥たちの貴重な住処になっています。

尾瀬の拠水林

 

 

 

 

 

 

関連:珍しい拠水林を見るにはここ行くべし

探鳥地案内 尾瀬ヶ原 6月編

 

社叢(鎮守の森)

神社やお寺の敷地内、またはその周辺にある森林で、その多くは神域とされ古くから人の手が入っていない極めて原始的・原植生が保たれていることが多く、非常に貴重な森林です。
神社林・社寺林とも呼ばれ、貴重な植生がある事から天然記念物の指定などを受け保護されている場所も有ります。
フクロウの仲間や、タカの仲間のような猛禽類が営巣することも多く、野鳥にとっても貴重な森林です。

海岸林

その名の通り海岸に繁茂する森林で、多くは保安林として人工的に植えられているものです。
防風・防砂・防潮など様々な意味で防災上重要な森林であると共に海岸付近に棲む野鳥の貴重な住処となっています。
また、渡りの時期の迷鳥なども一時的に立ち寄る最初の森林となるので、希少な迷鳥と出会える事が有るかもしれません。
何年か前には、千葉県の銚子にある海岸の林でキバラガラという、黄色いシジュウカラのような鳥が数週間にわたって滞在していました。

 

気候

亜熱帯

亜熱帯多雨林と言い、日本では沖縄地方が該当する亜熱帯に見られる森林です。
冬も葉を落とさない常緑広葉樹を中心とした鬱蒼とした森林で、シダ類等も多いです。
代表的な植物はマングローブで、海岸沿いの泥地に生え、潮が満ちると沈んでしまうという変わった植生をしています。

 

暖温帯(低山帯)

日本の暖温帯にあたる本州から九州の低地に見られます。
照葉樹林帯と呼ばれる常緑広葉樹がメインとなって構成される森林です。
特に本州中部より南の地域のシイの木やカシの木からなる森林が代表例です。
また、里山などでは、クヌギやコナラといった落葉広葉樹が混ざっていることが多いです。

低山地帯の林

 

 

 

 

 

 

冷温帯(山地帯)

日本の冷温帯にあたる北海道南部から九州の山地に見られる森林で、冬に葉を落とす落葉広葉樹で構成されていて、夏緑広葉樹林と呼ばれます。
ブナやケヤキ・カエデなど、紅葉が楽しめるのはこの森林です。
また、東北地方や本州の山地ではブナの自然林が多く、美しい自然の風景が楽しめます。
日本の四季を一番感じられる森林で、野鳥などの生物も多く、四季折々の風景や生物と出会える森林です。

亜寒帯(亜高山帯)

主に寒冷地の山頂付近で見られる冬でも葉を落とさない常緑針葉樹で構成された林です。
標高は低くても北海道東部も亜寒帯気候の範囲に入るので、多いかもしれません。
シラビソ・コメツガやエゾマツなどが多く、亜高山帯針葉樹林には、そこを好んで棲みつく野鳥もおり独特な生態系を持ちます☆

寒帯(高山帯)

緯度で寒帯に含まれる国土は有りませんが、3000mを超える高山で見られる針葉樹の低木で構成される森林です。
主にハイマツとわずかなナナカマド・ダケカンバなどの広葉樹の低木で構成されることが多く、ハイマツ帯と呼ばれることもあります。
亜高山帯と高山帯の境が森林限界と呼ばれ、高山帯より標高が高いと高木による森林を形成することが出来ません。
高山帯にもここを好む野鳥おり、独自の生態系を持っています。
また森林限界をバスやその他乗り物で超えていける山が数多くあり、比較的簡単にこの貴重な高山帯の森林を観察しに行くことが出来ます☆

高山帯

 

 

 

 

 

 

関連:簡単に高山帯まで行ける場所☆

探鳥地案内 長野県・富山県 秋の立山黒部アルペンルート 大町~立山室堂

 

 

さいごに

日本の陸地の約70%は森林です。
そして川や湖・海も森林とは密接な関係にあります。
野鳥の多くは森林や水辺に棲んでいるので、野鳥観察と森林とは切っても切れない関係性です。
今回紹介したように、日本には多くの種類の森林が有ります。
日本は、特にそこまで大きくない国土にも関わらず、亜熱帯から亜寒帯にかけての幅広い緯度分布、そして3000mを超える高山が連なり、平地から高山帯までの幅広い高度分布を持ち合わせている非常に恵まれた国です。
折角このような森林の見本市のような国に棲んでいるのですから、ぜひいろいろな森林を訪れて、風景や生き物との出会いを楽しみたいものです☆

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